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2022.07.07

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都市鉱山に挑む Vol.2

直島製錬所の社員が語る
E-Scrapリサイクルで、循環型社会に貢献

製錬事業で中心的な役割を果たしている直島製錬所。そのE-Scrap処理能力は世界最大級。年間の処理量は東京スカイツリー約3塔分の重量(約11万トン)に匹敵します。
E-Scrapから有価金属を回収するために、日々努力を続けている社員を紹介します。

E-Scrap由来のクリーンなメタルを届けたい

直島製錬所  事務部 業務課 玉泉 啓太

 業務課では、E-Scrapを受け入れ、銅、金、銀の地金に形を変えた製品を、お客様へ出荷するところまでを管轄しています。E-Scrapと一口に言っても性状は大きく異な り、全て同じように処理できるわけではありません。品位(メタルの含有率)や形状によって、サンプリング方法や処理フロー(E-Scrapの投入工程)、処理方法が大きく異なります。業務課は集荷窓口である本社リサイクル部と製錬所技術陣との橋渡し役を担っており、スケジュールや受け入れ量の調整などさまざまな折衝を行っています。その結果、順調な操業に貢献する安定した受け入れを維持できているとやりがいを感じます。
 直島製錬所の今年度のスローガンは「変化を恐れず進化を遂げよう~将来を生き抜く製錬所へ~」です。現状に満足することなく、今後は、さらなる処理能力拡大に備えた受け入れ体制の増強に取り組んでいきます。「資源は地球からの贈り物」です。限りある資源を無駄なく使う「リサイクル」の重要性は今後益々高まっていくでしょう。製錬原料のE-Scrap比率を高めることで、近い将来、他社の銅、金、銀よりもクリーンなメタルとして優位性を持ち、世の中にPRできる時代が来るはずと期待しながら、日々業務に励んでいきます。

分析作業の標準化で公平・公正な評価を

直島製錬所  生産部 分析課  堂路 正樹

 世界中から集荷したE-Scrapは、秤量、検品、サンプリング、試料調製、分析というプロセスを経て、その価値が評価されます。私の仕事は分析に関わるシステムを構築すること。分析には、高度な知識や経験が必要です。同じ成分の分析でも、前処理や分析装置が異なるだけで、必要とされる知識が全く異なることも珍しくありません。近年、極微量の濃度域も測定可能な分析装置が導入される一方で、昔ながらの手作業で職人のような繊細さが要求される分析方法もあります。このような背景もあり、分析作業が属人的にならないよう、システム構築によって標準化を推進し、誰でも公平・公正な評価が行えるようにすることを目指しています。
 また、分析プロセスや分析結果を情報システムと連携することにも取り組んでいます。当社が昨年リリースしたオンラインE-Scrap取引システム「MEX」に登録されたE-Scrapは、社内ネットワークを通じて製錬所での受け入れからサンプリング、分析まで一貫して紐づけされ、どこまで工程が進んでいるのかをいつでも確認できるようになっています。こうしたサービスが、世界トップクラスのE-Scrap処理量を実現する一助となっているのだと思います。

製錬技術の進化に挑戦し続けたい

直島製錬所  生産部 技術課  水田 雄二

 入社以来一貫して製錬に携わってきました。現在は、直島製錬所の生産管理を主導するなかで、現場に技術的な助言を行うほか 、全体最適を考えて生産部署間の調整なども行っています。三菱マテリアルは、E-Scrap処理量の規模拡大を目指していますが、E-Scrapなどのリサイクル原料は、貴金属価格の高騰もあり、奪い合いになってきています。資源の確保が難しくなるなか、さらに処理量を増やすためには、当社にリサイクル原料を供給していただいているお客様に、他社にはないメリットを提供する必要があります。その一つが、リサイクル原料の迅速かつ正確な評価です。サンプリング・分析工程の体制強化、特に自動化が鍵になると思っています。また、多種多様なリサイクル原料を安定して低コストで処理するた めに、製錬技術も今以上に高めていく必要があります。
 E-Scrapは、銅精鉱のみの製錬と比べて、設備が摩耗・腐食しやすかったり、操業コントロールが難しかったりします。設備が安定的に稼働し続けるために、飽くなき技術開発を進めていかなければなりません。独自開発した「三菱連続製銅法」などの高い技術力はありますが、現状維持は後退。優位性を持ち続けるために弛まぬ努力を続けていきます。

E-Scrap処理にも役立つ「三菱連続製銅法」とは?

S炉(Smelting Furnace:熔錬炉)、 CL炉(Slag Cleaning Furnace:錬 かん炉)、C炉(Converting Furnace:製銅炉)を樋でつなぎ、従来主流であるバッチ(回分)操業法を連続化した銅製錬プロセスです。これにより、設備自体のコンパクト化が実現し、省エネルギー、低コストでの操業が可能となっています。また、亜硫酸ガスの漏煙を防止し、無公害のシステムを確立しています。

三菱連続製銅法の構造