三菱マテリアルグループが支えるペロブスカイトの進化 ―持続可能な未来を拓く、次世代エネルギー技術
日本を含む多くの国が掲げる「2050年までのカーボンニュートラル」の実現に向け、再生可能エネルギーの普及促進は世界共通の課題です。その中でも、いま最も注目を集めている技術のひとつが「ペロブスカイト太陽電池」です。軽量・柔軟・高効率、かつ低コストという特長を持ち、従来のシリコン系太陽電池の常識を覆す存在として、国内外で急速に開発が進められています。
ペロブスカイト太陽電池とは?
ペロブスカイト太陽電池は、ペロブスカイト構造を持つ材料を用いた次世代型の太陽電池です。最大の特長は、軽くて曲げられること。従来のシリコン系に比べて柔軟性が高く、建物の壁面や車体、ウェアラブル用途など、これまで設置が難しかった場所への応用が期待されています。また、製造工程がシンプルで、印刷技術を応用した「塗布工程」により、低コストかつ大量生産が可能とされています。
ペロブスカイト太陽電池は日本が世界に先駆けて研究を進めており、精密塗布や高性能封止フィルムなど、日本の得意分野が活かせる領域です。さらに、シリコン系の主要原料であるポリシリコンは中国を主要な供給源としている一方で、ペロブスカイト太陽電池の主要な原材料であるヨウ素は日本が世界第2位の産出国であり、原料調達面でも有利性があります。 エネルギー変換効率も年々向上しており、研究段階ではシリコン系に匹敵する水準に達していることから、今後の実用化と普及に大きな期待が寄せられています。
ペロブスカイト太陽電池は日本が世界に先駆けて研究を進めており、精密塗布や高性能封止フィルムなど、日本の得意分野が活かせる領域です。さらに、シリコン系の主要原料であるポリシリコンは中国を主要な供給源としている一方で、ペロブスカイト太陽電池の主要な原材料であるヨウ素は日本が世界第2位の産出国であり、原料調達面でも有利性があります。 エネルギー変換効率も年々向上しており、研究段階ではシリコン系に匹敵する水準に達していることから、今後の実用化と普及に大きな期待が寄せられています。
印刷技術を応用した「塗布工程」
市場の動向と実用化への期待
日本では、2025年が「量産元年」とも言われ、各企業が量産体制の構築を本格化させています。経済産業省によるFIT制度(固定価格買取制度)の見直しや、NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)による支援も後押しとなり、外壁材・窓ガラス・EV(電気自動車)などへの応用が期待されています。
一方、世界市場では、2020年代後半から本格的な量産が始まり、2040年には2兆4,000億円規模に達するとの予測もあります。欧州・中国・米国などでも研究・実用化が加速しており、グローバル競争が激化しています。
実用化に向けては、耐久性や長期安定性の確保、製造装置の高精度化、材料の安全性など、いくつかの技術的課題が残されています。しかし、国内外の大学・企業・ベンチャーが連携し、実証試験や少量生産を開始。大手企業に加え、大学発ベンチャーや化学メーカーの参入も進み、開発競争はさらに加速しています。
一方、世界市場では、2020年代後半から本格的な量産が始まり、2040年には2兆4,000億円規模に達するとの予測もあります。欧州・中国・米国などでも研究・実用化が加速しており、グローバル競争が激化しています。
実用化に向けては、耐久性や長期安定性の確保、製造装置の高精度化、材料の安全性など、いくつかの技術的課題が残されています。しかし、国内外の大学・企業・ベンチャーが連携し、実証試験や少量生産を開始。大手企業に加え、大学発ベンチャーや化学メーカーの参入も進み、開発競争はさらに加速しています。

三菱マテリアルグループの技術が支える塗布工程
ペロブスカイト太陽電池の製造において、特に重要なのが成膜用インクの「塗布工程」です。液体材料を高精度かつ均一に塗布する必要があり、この工程の品質が太陽電池の性能に直結します。この分野で注目されているのが、三菱マテリアルグループの一員である三菱マテリアルハードメタル株式会社(旧MMCリョウテック株式会社。2025年7月1日より社名変更)の塗布工具「スロットダイ」です。
スロットダイの歴史は40年以上前に開発されて以来、液晶ディスプレイ、有機EL、燃料電池、リチウムイオン電池、光学フィルム、キャパシターなど、さまざまな分野に応用されてきました。液体材料を均一に薄膜化するために技術は進化を続けており、三菱マテリアルハードメタルのスロットダイは、用途や材料特性に応じて一台一台カスタマイズされるのが大きな特徴です。現在ではペロブスカイト太陽電池の性能を左右する重要な要素のひとつとなっています。
さらに三菱マテリアルと株式会社エネコートテクノロジーズ(※)は、ペロブスカイト太陽電池を構成する電子輸送層の研究開発に共同で取り組み、従来比約1.5倍の発電効率を実現する成膜用インクの開発に成功しています。三菱マテリアルグループは、塗布工具だけではなく、材料技術やプロセス技術とのシナジーを最大限に活かし、より高性能なペロブスカイト太陽電池の普及に貢献していきます。
※株式会社エネコートテクノロジーズ:2018年1月に設立された京都大学発のスタートアップ企業で、次世代太陽電池として注目される「ペロブスカイト太陽電池」の開発を専門としています。日本唯一のペロブスカイト太陽電池専業企業として、材料開発から製品化までを一貫して手がけています。当社は「MMCイノベーション投資事業有限責任組合」を通じて2020年5月にエネコートテクノロジーズ社へ出資しました。
スロットダイの歴史は40年以上前に開発されて以来、液晶ディスプレイ、有機EL、燃料電池、リチウムイオン電池、光学フィルム、キャパシターなど、さまざまな分野に応用されてきました。液体材料を均一に薄膜化するために技術は進化を続けており、三菱マテリアルハードメタルのスロットダイは、用途や材料特性に応じて一台一台カスタマイズされるのが大きな特徴です。現在ではペロブスカイト太陽電池の性能を左右する重要な要素のひとつとなっています。
さらに三菱マテリアルと株式会社エネコートテクノロジーズ(※)は、ペロブスカイト太陽電池を構成する電子輸送層の研究開発に共同で取り組み、従来比約1.5倍の発電効率を実現する成膜用インクの開発に成功しています。三菱マテリアルグループは、塗布工具だけではなく、材料技術やプロセス技術とのシナジーを最大限に活かし、より高性能なペロブスカイト太陽電池の普及に貢献していきます。
※株式会社エネコートテクノロジーズ:2018年1月に設立された京都大学発のスタートアップ企業で、次世代太陽電池として注目される「ペロブスカイト太陽電池」の開発を専門としています。日本唯一のペロブスカイト太陽電池専業企業として、材料開発から製品化までを一貫して手がけています。当社は「MMCイノベーション投資事業有限責任組合」を通じて2020年5月にエネコートテクノロジーズ社へ出資しました。


三菱マテリアルハードメタルの塗布工具「スロットダイ」

三菱マテリアルハードメタルの塗布工具「スロットダイ」(分解写真)
次回は、こうした技術を支える現場の技術者たちの挑戦と想い、そしてユーザーの声に迫ります。