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2025.01.06

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可能性の素材「タングステン」を世界へ Vol.2

資源循環を強化するために

可能性を秘めた素材、タングステン。
生成AIやxEVなどあらゆる技術の進化に伴って、今後の需要増加が見込まれています。技術の進化を支え続けるためには、調達できなくなるリスクは防がなくてはなりません。  そこで切り札となるのが、タングステンの「資源循環」。
三菱マテリアルは、グローバルで顧客が認めるタングステン製品のリーディングカンパニーを目指し、世界のタングステンのリサイクルを一気通貫で担えるように、グループの力を結集し、資源循環の取り組みをより一層強化していきます。

三菱マテリアルと共にタングステンリサイクルを担うグループ会社

Mitsubishi Materials Europe B.V.
2024年9月、オランダ・アムステルダムに新設。欧州地域で、 E-Scrapなどのリサイクル事業やタングステン事業の戦略を立案し、実行するとともに、欧州地域の事業会社の経営管理や銅鉱山の配当管理業務などを担います。主な事業内容は循環デザイン事業、資源事業、タングステン事業となっています。
H.C.Starck Holding (Germany)GmbH
H.C.Starck 社は、100年以上の歴史を持つ世界有数のタングステン製品メーカーで、世界最大級のタングステンリサイクル能力を保有しています。ドイツに本社工場を持ち、主にタングステン粉、タングステンカーバイド粉、その合金を素材とする高品質粉末を製造・販売。欧州や北米、中国で製造・販売し、日本にも販売網があります。
日本新金属株式会社
タングステンを含むスクラップから、タングステン粉末・タングステンカーバイド粉末を一貫生産できる、国内で唯一のタングステン精錬技術を保有。強みである湿式精錬技術を活用し、スクラップを再利用することで、国内の資源循環を進め、資源循環型の社会システムの構築を目指しています。
H.C.Starck 社×日本新金属社の協業効果
・共同開発による研究開発力の強化    
・クロスセルの推進などを通じたシナジー創出と企業価値向上

供給能力を6倍に拡大

日本新金属社の現在のタングステン供給能力は、2,500t /年です。また、 H.C.Starck 社の欧州、北米、中国 の 生 産 拠 点 での 供 給 能 力は 12,500t /年。同社買収により、三菱マテリアルグループ全体では世界トップレベルの15,000t /年の供給能力となり、従来の6倍へと拡大。当社グループはタングステン事業の基盤を強化し、事業戦略の推進を一段と加速していきます。

タングステン粉末

スクラップ集荷量を拡大

国内外にて、使用済み超硬工具などのタング  ステンスクラップ集荷量を拡大させています。回収ルートは主に超硬工具の販売網を活用した、お客様からの使用済み工具の回収があります。また、スクラップディーラーから購入するケースもあります。さらに、三菱マテリアル金属事業カンパニーで取り組んでいるE-Scrapの回収とも連携し、ヨーロッパで発生したE-Scrapや超硬スクラップを合わせて集荷し、E-Scrapは日本の銅製錬所に、超硬スクラップは H.C.Starck 社に持ち込むことなどを検討し、スクラップ集荷量を拡大していく予定です。

超硬工具(切削工具など)

使用済み超硬工具スクラップ

世界最大級のリサイクル処理能力

日本新金属社と、H.C.Starck 社のドイツ拠点を合わせると、世界最大規 模のリサイクル処理能力を確保できます。2030年に向け、H.C.Starck 社、日本新金属社ともにリサイクル能力をさらに高める計画としています。これらの取り組みを通して、三菱マテリアルグループは、2030年までに超硬工具製造におけるリサイクル原料比率80% 以上の達成を目指しています。

中間体粉末

タングステンカーバイド粉

世界への販路を拡大

日本新金属社の高機能粉末とH.C.Starck 社のセールスネットワークを活用し、組み合わせることで、欧州、米国、中国といった世界各地への販路を拡大していきます。超硬工具として最先端のものづくりを支えるだけでなく、二次電池の材料などさまざまな用途に使用する粉末として、世界中のあらゆる産業の需要に応えます。そして利用されたタングステンは回収することでリサイクル利用を推進します。
POINT
タングステン精錬における独自技術とは

 日本新金属社秋田工場では、回収されたスクラップに対して「酸化焙焼」という処理をして、粉末にします。そして国内唯一の湿式精錬技術によって、この粉末を中間製品であるAPT(パラタングステン酸アンモニウム)に仕上げます。
 その後、乾式工程でか焼、還元、炭化処理を行い、タングステンカーバイド粉を製造します。
 地域ごとのインフラやお客様が求める品位などにより、世界各地でタングステンの処理方法は異なっています。日本新金属の処理技術は、そうした世の中の動向に対応しやすい技術ラインが強みです。
 一方、H.C.Starck 社は、溶媒抽出による世界で唯一の湿式精練技術によってリサイクルを行っており、両社の技術を生かして精錬能力を高めていく予定です。