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2023.07.06

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特集:限りある金属資源を、未来につなぐ。 vol.3

目指す姿の実現に向けて、三菱マテリアルの挑戦が既に始まっています。ここでは最新のトピックスと、目標達成に挑戦している社員の姿をご紹介します。

目指す姿のために 循環を導く私たちの挑戦

01 天然資源の安定確保
カナダの銅鉱山プロジェクトへ資本参加

三菱マテリアルは、2023年4月にカナダの Western Copper and Gold Corporation 社(WRN 社)の株式約5%を取得しました。同社は、カナダ北西部ユーコン準州に位置するCasino 銅鉱山プロジェクトを100%保有しており、2030年の生産開始を目指しています。
Casino 銅鉱山は、資源量が豊富で、生産される銅精鉱は不純物が少ないクリーン鉱と見込まれ、2057年までの長期間にわたり銅資源の安定供給が期待されます。また、銅に加えて含まれる金品位(純度)が高いため、経済性が高いことも特長です。
今回の資本参加は、継続的な鉱山投資を通じて天然の資源である銅精鉱を安定的に確保するための施策の一つで、本プロジェクトを着実に進めることで、取り組みを前進させていきます。

My Challenge
鉱山で培った技術を応用し、シナジーを創出したい

金属事業カンパニー開発部
鉱業技術研究所所長補佐
高次 晃一郎

私が所属する鉱業技術研究所では、製錬所や鉱山の安定操業や技術課題の解決、新規事業の創業を目指したプロセス開発を行っています。現在、資源技術開発のリーダーとして、若手研究員を取りまとめながら、操業する鉱山の品質の安定、必要な量の銅精鉱の確保に向け、現場と協力して抱えている課題の原因分析や評価、ソリューションの開発を進めています。また、私たちがこれまで鉱山で培ってきた、採掘した鉱石の選鉱技術を、製錬の各拠点 で応用し、三菱マテリアルならではの技術シナジーの展開を試みています。中経2030達成に向けては、操業鉱山の生産性向上につながる技術の開発を主軸とし、稼働鉱山からの銅精鉱確保を目指します。具体的には鉱石から必要な金属を効率的に 取り出すためのプロセスの開発などです。また新規鉱山投資案件では、公開情報だけでは分からないような技術リスクの洗い出しも必要です。これらの課題の解決を通して、資源事業の付加価値向上に挑みます。

02 拠点間のマテリアルグリッド強化
小名浜製錬の完全子会社化

三菱マテリアルは、2023年4月に小名浜製錬株式会社を完全子会社化しました。同社の小名浜製錬所は東日本唯一の銅製錬所であり、銅素材・銅合金を安定供給し、廃自動車から発生するシュレッダーダスト(ASR)やE-Scrapの処理など、非鉄金属リサイクルの重要拠点です。
三菱マテリアルは、製錬事業拠点間で多様な金属元素を回収する「マテリアルグリッド」の強化を進めています。今回の完全子会社化を契機に、小名浜製錬所で新たにリサイクル原料の前処理施設の建設計画を進め、マテリアルグリッドの強化につなげます。三菱マテリアルが持つ技術を、小名浜製錬所のリサイクル事業強化に活かすことで、中経2030で掲げる金属資源循環を加速させます。

My Challenge
小名浜製錬所を「強い製錬所」に。その伴走者でありたい

金属事業カンパニー製錬事業部
製錬部 部長補佐
赤坂 一行

製錬部では製錬事業における生産や製錬技術の企画・管理に関する業務を行っています。その中で私は、小名浜製錬所の担当として、操業支援や技術的課題への対応支援、設備投資計画の立案支援などを担っています。
中経2030では、E-Scrap 類の処理能力を増強し、年間24万tの処理体制確立を掲げています。そこで製錬部では、各製錬所の設備投資計画の策定を支援することで、この目標の実現を目指します。
小名浜製錬所では、早くからシュレッダー ダストなどの廃棄物処理に取り組み、継続的な設備投資と技術改善を進め、処理量を増やしてきました。さらなる処理能力拡大に向け、 E-Scrapの増処理計画を推進し、新たな処理設備の導入により、2030年には現在の倍以上の処理能力を目指します。
現在は関係者が一丸となって、中経2030達成に向けた工事実施や起業計画を策定しているところです。小名浜製錬所が競争力のある強い製錬所に成長していく中、私自身もその一員として貢献していきます。

03 E-Scrapビジネス拡大
英国Exurban 社と提携関係を構築

三菱マテリアルは、2023 年3月に英国 Exurban社の株式を一部取得して主要株主となり、戦略的な提携関係を同社と構築しました。同社はE-Scrapなどの金属リサイクル材に特化した、世界初の廃棄物ゼロのリサイクルプラントの実現に取り組んでいます。
三菱マテリアルは、Exurban 社グループが米国インディアナ州で建設を予定する新規リサイクルプラントの建設・オペレーション・資金調達などのパートナーとして関与していきます。
今回の提携によって、金属リサイクルに関す る環境課題や産業課題の解決を目指します。さらに中経2030で掲げる非鉄金属の資源循環におけるリーダーとなるため、欧州など世界規模でのE-Scrapビジネス拡大につなげていきます。

My Challenge
世界の資源循環をリードする架け橋になりたい

金属事業カンパニー資源循環事業部
事業開発部 部長補佐
菊池 智史

私は現在、ExurbanプロジェクトやLIBリサイクルプロジェクト推進のための活動に加えて、既存リサイクル事業の強化・拡大や新たな資源循環事業の創出に向け、企画・調査・ステークホルダーとの対話などを行っています。
経済安全保障や環境負荷低減の観点から、金属資源に対するリサイクルニーズは高まっています。一方、資源の囲い込みや競合に よるリサイクル事業の拡大・新規参入などで、競争は激化する見通しです。
そうした状況の中で、事業開発部は Exurban 社が計画する米国インディアナ州 でのプロジェクト実現などに取り組んでいます。
三菱マテリアルによるExurban 社への出資以降、既にさまざまなステークホルダーから多くの問い合わせを受け、期待の高さを実感しています。
各国・地域の政策影響も受けて、将来的な資源循環の在り方は不透明となっています。だからこそ私たちは、社内外の関係者と対話を重ね、技術力を最大限発揮できるような資源循環の仕組みを創出していきます。