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2024.01.09

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特集: 世界のものづくりの力になる vol.3

Project Story 2 中経2030実現へ 技術と経験を活かす

デジタル技術でものづくり現場を革新

三菱マテリアルの中経2030では、加工事業において “グローバルで顧客が認めるタングステン製品のリーディングカンパニー”になることを目標にしています。
この実現のため、ものづくり現場のあらゆるニーズに応えるべく、従来にない機能を搭載した切削工具の開発や、グローバルで展開するテクニカルセンターに蓄積されたデジタル技術を活用した幅広い切削加工ソリューションサービスの提供などを目指しています。ここでは、そうした取り組みの一例として、センサ工具開発とテクニカルセンターの海外展開についてご紹介します。

センサ工具とは?

工具で削る材料(以下、被削材)の寸法を測定するための「変位センサ」と、加工面を撮影するための「画像センサ」を搭載した切削工具。センサを搭載することで、切削加工直後に被削材の寸法測定や自動補正、加工面の撮影を行うことができます。また、加工面の画像解析により、工具寿命の自動判定も可能になります。

センサ工具開発

品質、コスト、生産性。お客様のあらゆる課題を解決する工具を世に出したい

加工事業カンパニー
開発本部 加工技術センター開発規格課
髙橋 亘

三菱マテリアルは超硬工具業界のリーディングカンパニーとして、切削加工のデジタル化に取り組んでいます。その一翼を担うのが私たちが開発を進めているセンサ工具です。
当社センサ工具の特長は「変位センサ」と「画像センサ」を搭載している点です。従来の 被削材の寸法測定は、加工機上では切削工具を測定専用のセンサに交換、加工機外では被削材を取り外して測定器で測定という一手間が必要でした。しかし、変位センサがあれば加工直後に加工機上で測定できるため、生産性が向上します。また従来の工具は、生産個数が一定数に達したら寿命と判定し交換することが主流でした。一方、センサ工具は工具寿命の限界まで使い切ることができるため、コスト削減を実現できます。さらに、人間の目視によって判定していた加工面の品位の悪化を加工機上で判定でき、かつ定量化できることで技術者のノウハウ伝承にも活用できます。
そのようなセンサ工具ですが、開発では多 くの壁に直面してきました。例えば、画像センサは狭いスペースに埋め込むことができる、小型かつ高画質なセンサが要求されます。また、変位センサも同様に小型かつ高精度でなくてはなりません。そこで、この分野で豊富な知見を持つ当社イノベーションセンターと共同で部品の選定、電子回路の開発などを行い、現在の仕様を導き出しました。
今後はお客様の多様なニーズにお応えすべく、さまざまな仕様のセンサ工具の開発にも挑戦したいと思います。そのためにも、一日でも早くセンサ工具を使用していただき、当社の切削加工ソリューションでお客様のものづくり現場の課題解決に貢献していきたいと考えています。

テクニカルセンターの海外展開

お客様に合わせた ソリューション提供でものづくり現場の課題を継続的に改善する

MTEC Stuttgart Assistant Manager
Shpend Arifi

近年、金属加工業界は働き手不足などさまざまな課題に直面しており、お客様はサプライヤーに対して付加価値の高いサービスの提供を求めています。中でも、コスト削減や生産性向上といった課題は、製造工程を改善するだけでは解決が難しく、企画段階から見直す必要があります。
そこで三菱マテリアルは、お客様の技術サポート拠点であるテクニカルセンターの設置を国内外で進めています。海外のテクニカルセンターでは、ターゲットとする地域のお客様に合わせたソリューションの提供に注力しています。私が所属するMTEC Stuttgartは、欧州地域のお客様の課題解決を目的とした ソリューションサービスを提供する施設として、 2019年にドイツのシュツットガルトで開設しました。私たちは欧州ならではの工具規格やソリューションを導入できるため、より豊富な製品力でお客様の課題解決に貢献できるようになりました。
MTEC Stuttgartが真に目指しているのは、お客様の課題を継続的に改善することです。そのためには、次世代の切削工具やデジタルツールを用いた最適な技術サポートはもちろん、技術講習や加工工程の最適化など、さまざまな付加価値をお客様に提供し続ける必要があります。
私たちは先進的なサービスを提供し続けるため、MTEC Stuttgartの専門的知見と日本のメンバーの技術力を融合させたり、社外有識者や研究機関と戦略的に提携したりすることで、オープンイノベーションの可能性も模索しています。三菱マテリアルの最新デジタルツールの活用により、今まで以上にお客様に寄り添ったソリューション提供を迅速に進めていきます。

世界各国のお客様に寄り添いサポートするテクニカルセンター

お客様の技術サポート拠点として、国内および海外にテクニカルセンターを設置しています。2019年6月にはドイツのシュツットガルトにMTEC Stuttgartを、2020年3月にはインドに世界で9 拠点目となる MTEC Puneを新設しました。全世界のテクニカルセンターが密接に連携することで、お客様視点のソリューションを迅速に提供していきます。