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2024.01.09

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特集: 世界のものづくりの力になる vol.4

Project Story 3 中経2030実現へ 循環をデザインする

タングステンの調達を持続可能に

超硬工具の主原料である、タングステン。
近年は、EVなどに使用される二次電池の材料としても、需要が高まっています。三菱マテリアルグループは、持続可能なタングステンの調達を目指し、グローバルでの超硬スクラップ回収拡大とリサイクル処理能力の強化に取り組んでいます。

タングステンとは?

タングステンは、非常に硬く、重い希少金属です。炭素と組み合わせることでより硬い材料となり、その硬さを活かして超硬工具の主原料となります。また、タングステン粉末は、二次電池の材料としても使用されており、自動車のEV 化などに伴って、今後も需要が急拡大することが予測されます。

リサイクル原料比率80%以上を目指す

三菱マテリアルグループは、回収した超硬工具のリサイクル処理能力を強化しています。グループ会社の日本新金属社秋田工場では、2017年にタングステンのリサイクル設備を増設し、処理能力を大幅に増強しました。2030年度までの目標として、当社で製造する超硬工具の原料に占めるリサイクル原料の比率を80%以上に増加させることを目指し、リサイクル技術の開発と、リサイクル能力の強化に取り組んでいきます。

世界中から使用済み超硬工具を回収し、無駄なく生かす

タングステンは、中国を中心とした特定の資源国に偏在しています。希少性が高く、世界情勢の変化により確保できなくなるリスクもあり、原料として安定調達するためにはリサイクルシステム構築に取り組むことが急務です。三菱マテリアルは、世界中から使用済みの超硬工具などの超硬スクラップを回収し、新しいタングステン粉末として生まれ変わらせる資源循環システムを構築しています。現在、北米・南米エリアでの回収を拡大しており、今後は欧州エリアでのスクラップ回収をさらに拡大していく予定です。

資源循環の体制確立

社会で高まる需要に応え、タングステン粉末の安定供給を担いたい

日本新金属株式会社秋田工場 製造グループグループサブリーダー
梅田 雄大

当社秋田工場では、タングステン精鉱やタングステンを含むスクラップをリサイクルし、タングステン粉末を一貫生産しています。私は現在、技術開発などの経験を活かし、一貫生産ラインのマネジメントに取り組んでいます。
中経2030の達成に向け、当社はリサイクル能力強化に注力しています。2017年には新たなタングステンリサイクル工場を竣工、操業したことにより、当社の超硬スクラップのリサイクル処理量を従来の2倍以上に拡大させることができました。現在、1年間あたりの超硬スクラップのリサイクル処理量は、およそ1,000tを誇ります。
リサイクル拡大のためには、超硬スクラップの調達量を増やす必要があります。現在、三菱マテリアルグループの国内外の事業所と連携してスクラップ回収体制を構築しており、安定した調達ルートを確保するため、複数の調達先との調整を進めています。また、当社は超硬合金用だけではなく、さまざまな用途にタングステン粉末を提供しています。特に電子部品や二次電池での需要があることから、タングステンの将来性を感じています。この分野を成長させることが、中経2030達成につながるはずです。そのためには常に、新しい分野のお客様との情報交換や技術交流を通じて、社会の最先端技術に対応していくことが大事だと感じます。私たちは今後も精錬技術を磨くことで、社会で高まる需要に応え、高純度品・高付加価値品の品質向上とコストダウンに努めます。ものづくりを担う加工分野のお客様にタングステン粉末を安定供給し、頼られる粉末原料メーカーとして歩んでいきます。