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2022.10.07

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大地の豊かなエネルギー 地熱発電への挑戦 Vol.3

<プラントエンジニアリング>
高効率な発電を実現

経験を次世代につなぎ地熱発電の未来をつくる

環境•エネルギー事業カンパニー エネルギー事業部
再生可能エネルギー技術部 安比地熱発電所建設事務所
大畑 要

 現在私は、岩手県八幡平市八幡平山国有林内にある安比地熱発電所(2024年運転開始予定)の建設工事現場で働いています。地熱発電所は、道がない山中に建設されることが多く、その工事は森林の伐採、道路及び基地造成から始まります。建設元請企業や地元の林業者と協力し、周囲の環境に影響を与えないように基地造成を進めた後、地下から蒸気を取り出す生産井と、地下から蒸気と共に出てくる熱水や、発電し終わった蒸気を冷やすことで発生する冷却排水を地下へ戻す還元井の掘削工事を行います。同時に、生産井から取り出した蒸気を発電設備へ送るための蒸気設備工事も進めます。その間も、探査段階から引き続き、環境モニタリングを継続します。今回の建設現場は、工期は4年半と長丁場で、冬季は5 mを超える豪雪のため休工になります。
 地熱発電所ならではの掘削工事は、地熱貯留層がある地下2300mの深さまで1本の井戸を掘り進めるのに約2カ月かかりますが、途中でぶつかる水脈をしっかりと塞ぎ、熱で管が膨張することも計算しながら、管に負荷がかからないように固定し、長年耐えられる7本の井戸を掘っています。
 設備の品質は、要求仕様を満たすことはもちろんですが、見えないところもきれいに仕上げることを心掛けています。神は細部に宿るというように、細かなこだわりが設備を長持ちさせることにつながるからです。何十年も稼働し続けるからこそ、次世代へ胸を張って引き継げるものを残したい。そして、次の新たな地熱発電所建設を担う技術者の育成にも注力し、ここで培った技術やノウハウを未来へつなげていきたいと考えています。

掘削工事の様子。安比地熱発電所では、生産井4本と還元井3本を掘る。

地下に向かって掘削するトリコンビットを降下。2300m下まで堀り進める。この掘削技術は、鉱山開発の探鉱ボーリングで培ったもの。