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2022.10.07

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大地の豊かなエネルギー 地熱発電への挑戦 Vol.4

<地熱発電所の操業管理技術>
安全にエネルギーをつくり続ける

環境•エネルギー事業カンパニー エネルギー事業部
再生可能エネルギー技術部 東北電力所
田中 宏樹

大地と対話しながら安定的に 電力を供給

 大沼地熱発電所は、日本で3番目に運転開始した歴史ある地熱発電所。現在も現役で、24時間体制の操業管理、熱水配管のメンテナンス、更新工事、毎年2週間操業を止めて行われる定期点検、新たな補充井の掘削など、地熱発電所のさらなる長期安定操業を目指した管理が行われています。
 また、周辺の自然環境に影響を及ぼしていないことを確認するため、定期的にモニタリングを行い、環境省に報告しています。再生可能エネルギーの一つである地熱発電を通して、エネルギーの安定供給に努めることで循環型社会・脱炭素社会に貢献していることに、誇りを持っています。
 地熱発電は、太陽光発電や水力発電と比較して、天候や季節に左右されない安定的な再生可能エネルギーと言われていますが、厳密に言うと、高温・高圧の熱水を取り出す生産井は、いつも同じように熱水を噴気しているわけではありません。1カ月噴気した後、数カ月休む生産井もあります。地下の様子は分からないため、圧力を監視しながら、複数の生産井を管理し、安定的に電力を供給しています。
 私のミッションは、大沼地熱発電所をさらに長持ちさせることです。地熱発電所をつくるのは、簡単ではありません。だからこそ、定期点検や日々のメンテナンスが重要です。現在、リバイバル計画を進行中で、高リスク設備の更新と補修に加え、今年度中に新たな還元井を掘削する予定です。また、操業の信頼性を向上するため、遠隔監視システムを導入して、モニタリング体制を強化しているほか、現場情報のデジタル化を進め、数値管理によるトラブルの早期発見及び業務効率化につなげようとしています。時代とともに操業管理を進化させ、長期安定操業の継続に貢献していきたいと考えています。

法定では4年に1度ですが、大沼地熱発電所では毎年行われる定期点検の様子。休みなく動き続けているタービンやポンプを解体して総点検する。操業停止期間を延長しないように、失敗は許されない。

熱水配管には、1年に1cmのペースでシリカスケール(二酸化ケイ素が塩基と結びついてできる水垢)が堆積する。配管が詰まるなどの不具合防止のため、物理的な方法で掻き取る。