進化する銅 Vol.3
進化する、人材と製造拠点
「グローバル・ファースト・サプライヤー」を目指して
今回は銅加工事業を支える、堺工場、三宝製作所、若松製作所の3拠点から社員が集まり、座談会で中経2030の進捗や今後の意気込みについて語り合いました。

各拠点が一丸となり量産体制を確立

鷹野
堺工場の型銅部門では、型銅生産量従来比3割増産という計画を掲げています。計画達成に向け、新たな溶解設備の運用と活用、時間あたりの生産量増加を実現する「増速鋳造」に取り組んでいます。増速鋳造に は設備能力を高め、設備や部材の改良が必要になるので、実際の作業者の知見を反映し、不具合の発生を防いでいます。

樋口
堺工場 業務課では、加工工程で発生した合金屑を社内で循環させるため、銅リサイクル率向上に取り組んでいます。合金屑は直島製錬所や小名浜製錬所に送り、最大限活用できるようにしています。こうした資源循環の動きは近年、お客様の注目も集まっていますね。三宝製作所はいかがですか。

藤田
三宝製作所では圧延製品の量産体制が整い、歩留まり向上などの目標達成へ一丸で取り組んでいます。私は製板課で銅板製品の生産管理に携わり、現在は客先納期を遵守するための工程管理や品質安定化を目指し、日々業務に取り組んでいます。

川口
技術開発部では、製造工程の改善と開発合金の拡販に取り組んでいます。例えば MOFC®-HRの拡販ですね。自動車部品や電子機器のメーカーへの営業に力を入れています。銅板の歩留まりを上げる上で、課題である板の反りの発生を防ぐことに注力しています。若松製作所はどうですか。

玉川
若松製作所で現在注力しているのが、設備の増速化と不良率低減です。私はリフロ ー錫めっきライン設備の増強などに携わり、去年から増速化の改造工事計画を進めてきました。改造後はトラブルが発生し、スムーズには進まなかったのですが、量産化までたどり着き、着実に製品の量産体制が整ってきました。今後も、スピード感を意識して設備の増強を進める必要がありますね。

三宅
生産管理部の私は営業と製造をつなぐ役割を担い、お客様からのオーダーを製造現場につなげています。営業と製造の間に立って、遅延が発生しないようにしています。新しいお客様も着々と増えてきており、自動車向けなどの銅加工品需要に応えています。

玉川
増速化には課題もあります。作業者の処理時間も短縮され、作業者の負荷が増えるので、負荷を軽減するために作業の自動化にも、合わせて取り組む必要がありました。


培った知見を共有し連携力を発揮したい

川口
工程改善に向け、部署を越えて困りごとを共有し、意見を交わし合い、改善につなげています。例えば銅加工開発センターで工程改善のシミュレーションができたり、藤田さんのいる三宝製作所 製板課の力を借りたりできるのは当社ならではの強みです。また、私がいる技術開発部は国内3拠点にあり、技術交流会を月1回開いて拠点を越えた意見交換や業務紹介をしています。今後もっと活発に意見交換をして、当社の強みを発揮させていきたいです。

三宅
私の仕事では営業との密な情報連携が大切ですね。営業から、今後市場ではこの分野の受注が増えそうといった情報を聞き、製造現場に随時伝えています。受注の見通しが予測できない部分もある中ですが、もっと密に情報連携できれば、より機動力を高められると思います。

鷹野
堺工場の新溶解設備の設置においては、法令や予算といったあらゆる角度からの検討が必要で、自分たちだけでは計画を実施できませんでした。大きな課題に取り組む上で、部署の垣根を越えたタスクチームを結成し、それぞれの検討課題の解決を目指しました。

玉川
今後、私たちの3拠点がありたい連携の姿としては、三宝製作所も若松製作所も堺工場も、共通の設備があって拠点ごとに培ったノウハウがおそらくあるはずなので、そのノウハウを共有し、お互いの業務や工程設計に活かすことができれば、当社の連携力は今よりもっと発揮できると思いますね。

鷹野
環境に配慮した製品として、当社の 100%リサイクル材に対する期待も高まっていると感じます。最近は、リサイクル材料の鋳造も進んでおり、三宝製作所と協力して進めていきたいと思います。また航空宇宙開発向けの需要も増え、社会の期待が高まっています。当社の素材の強みは、品質が安定して均一なところであり、性能のばらつきの少なさが、お客様からの信頼につながっています。

川口
当社には今、資源循環の強化が求められていますよね。今後は国内でいかに銅の資源循環を進められるかが大事です。環境負荷を抑えていくため、私たち加工拠点が、銅のリサイクル処理能力をもっと高めて、資源循環の土台を確立することが、社会全体から求められていることだと感じます。

三宅
資源循環というと、私は以前、原料課という部署にいて若松製作所で出たスクラップを小名浜製錬所に送り、鋳造につなげる仕事に携わっていました。社内で出たものは、社内で再利用する。そうすることで、使う原料の選択肢が増やせるような取り組みが進んでいくといいと思います。


目の前の業務を通じ、社会の期待に応える

玉川
皆さんのお話から、仕事に熱心に取り 組み、社会のために貢献したいという思いを感じました。私もまずは銅合金の拡販を続け、売り上げに貢献していきたいです。「安全で作業性の良い設備、環境および高品質な製品、低コストで製造するための設備や技術を追求する」ことが私たち生産技術課の方針ですので、これを追求してやりきりたいです。

樋口
業務課としては、製品、原料ともに滞りなくデリバリーすることで、銅リサイクル率を最大限向上できるように、そして合金屑の活用が広がるように、今後も関係者との連携を一層強化していきます。

藤田
「グローバル・ファースト・サプライヤー」という点では、三宝製作所の板製品は国内シェア8割超えで世界シェアも高く、まさに「グローバル・ファースト」な存在と言えます。不良率の削減に必死に取り組み、社会からの期待に応えていきたいです。

川口
会社全体の話を聞いて、改めて、どの拠点も目指している方向は同じなんだと実感できました。自分が扱っているアイテムが、他の部署でもやはり重要であり、自分たちがやってきたことは間違いではなかったなと再確認しました。

鷹野
部署の壁を越えた連携も徐々に強化されてきて、この連携こそ当社が生き残っていくための鍵になるなと思います。当社のどの部署でも連携が大事だと改めて感じました。

三宅
課題ありきで連携するのではなく、その手前でいろんな部署の動きを知る人がもっと増えて、連携が生まれれば、当社が秘めるポテンシャルを発揮できるはずです。当社の強みは上工程から下工程まで全てに対応できること。その強みを生かすには、交流をさらに盛んにすることが大切ですね。

座談会に出席した6人に、これからの仕事に込める思いやチャレンジしたい目標などをお聞きしました。

三宝製作所
藤田 健太朗

技術開発部
川口 卓也

若松製作所
三宅 風雅

若松製作所
玉川 隆士

堺工場
鷹野 陽弘

堺工場
樋口 真子