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2025.09.24

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四季とともに生きる森 ─秋に輝くカラマツの魅力

北海道の寒冷な気候に適応し、力強く育つ「カラマツ」。その成長の早さと丈夫な材質から、かつては炭鉱の坑道を支える坑木として広く植林されてきました。日本固有の松の中で唯一、秋に葉を落とす「落葉松(らくようまつ)」としても知られ、初雪前には一斉に黄葉し、森全体が黄金色に染まる光景はまさに自然の芸術です。

カラマツ材は、赤みを帯びた独特の美しい風合いと高い強度を兼ね備えています。一方で、乾燥後にねじれによる割れが生じやすいという特性もあり、これまでは梱包材などの資材用途が中心でした。しかし近年では、板状の木材を貼り合せて加工することで、建築分野での活用が進んでいます。さらに、木材乾燥技術の進化により、丸太や柱として使える「無垢材(むくざい)」としての利用も広がりつつあります。
カラマツは痩せた土地や火山灰地でも力強く育つ環境適応力を持ち、造林に適した樹種としても注目されています。持続可能な森林資源として、地球温暖化対策の観点からもその価値が見直されています。

三菱マテリアルが北海道で管理する「マテリアルの森」では、現在もカラマツ系の樹種を中心に植栽を続けています。一般的にカラマツは植林から伐採まで30~50年の期間を要しますが、マテリアルの森では伐採時期を延長し、より太く、大きく、丈夫な大径材を生産することを目指しています。

そして、カラマツ林にはもうひとつの魅力があります。夏の終わりになると、地面から「ハナイグチ(別名ラクヨウ)」という愛らしいキノコがポコポコと顔を出します。食用としても人気が高く、キノコ狩りの季節には多くの人を楽しませてくれる、森からの贈り物です。

カラマツは、木材としての価値だけでなく、四季折々の風景や副産物を通じて、私たちの暮らしに豊かさをもたらしてくれる存在です。これからも北海道の森で貴重な森林資源を守っていきたいと思います。

カラマツ林に顔を出すハナイグチ