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2023.10.10

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自動車・半導体の進化を担う Vol.4

三菱マテリアル電子化成社
世界に誇る技術力が大型結晶の製造を可能に

 半導体産業が発展する中、半導体製造装置に使われる材料の需要が高まっています。三菱マテリアルグループの三菱マテリアル電子化成社が製造する柱状晶シリコンは、主に半導体製造装置用の部材としてさまざまな形状に加工され、素材の供給を通して半導体業界を支えています。
 三菱マテリアル電子化成社では、この柱状晶シリコンを増産し、2026年までにインゴット生産数量を2021年度比1.3倍に増やす計画です。これにより半導体製造装置に使われる材料の需要増加に対応します。
 近年、半導体製造装置内における不純物の低減ニーズが高まっています。現在、半導体に使われる材料はシリコンが主流です。この半導体の製造工程で、不純物の混入を避けるためには、製造装置にも同じ材料、つまり「共材」であるシリコンを使用することが効果的です。そこで高純度の柱状晶シリコンを、製造装置の部材として使用することで、石英などの他の材料に比べて、不純物の混入リスク低減を図ることができます。
 このことから従来、他の素材を利用していた半導体製造装置の大型部材にも柱状晶シリコンが求められています。しかし大型のシリコンは壊れやすく、製造や加工には高い技術力が必要です。
 そこで三菱マテリアル電子化成社は、三菱マテリアルが培った高度な精密鋳造技術を基盤として確立した製造技術を強みとして、世界最大級1200㎜×1200㎜のインゴットの安定的な製造を実現し、大型材料に対するニーズに応えているのです。
 三菱マテリアルグループは、こうした世界に誇る技術力を活かして、高付加価値製品のさらなる増産体制を確立させることで、半導体産業の発展に貢献しています。

さまざまな形状に加工されたインゴット

柱状晶シリコンとは?

 柱状晶シリコンは、柱のような形状の結晶構造を持つシリコンです。この柱状の結晶構造をつくるには、鋳造時に下から上へ「一方向」に結晶を成長させて凝固します。
 柱状晶シリコンの開発で中核となる技術が、この「一方向凝固法」です。この方法により下から結晶を成長させ、体積膨張を排除し、力を上方向へ解放します。
 液体のシリコンを固めると、内部 が割れて亀裂が入ることがありますが、一方向に固めて力を開放することで割れにくくしているのが特長です。
 もう一つの特長は、不純物が上へと移動して排出されるため、シリコンの純度を高められることです。
 現在、半導体製造装置市場では主に「単結晶シリコン」が使用されていますが、装置設計上の自由度は、柱状晶シリコンよりも低いのが現状です。柱状晶シリコンは、大型の部材を提供できるだけでなく、単結晶シリコンやほかの多結晶シリコンより も「曲げ特性」や「加工性」が優れており、円盤や角板、円筒など、あらゆる形状に加工できるため、高い評価を得ています。
中経2030
My Challenge

三菱マテリアル電子化成㈱
シリコンパーツ事業部
シリコンパーツ開発部
部長

続橋 浩司

タイムリーな製品供給で
半導体産業の発展に貢献したい


 シリコンパーツ開発部では、生産性向上を重視して日々の仕事に臨んでいます。私たちが携わる半導体関連市場は変化が激しいため、市場の動向を把握し、タイムリーに設備投資をして供給しないと、他社との競争に勝つことはできません。中経2030達成に向け、市場動向に合わせた安定的な供給ができるように、柱状晶シリコンの生産体制を構築していく必要があります。
 私は、当社の柱状晶シリコンがQCDいずれの面においても世界で一番だと信じています。半導体の未来を見据え、将来の需要に対応できる体制の確立が私たちの使命です。三菱マテリアルグループの一員として、今回の増産を通じ、半導体産業の発展にさらに貢献していきます。

三菱マテリアル電子化成㈱
シリコンパーツ事業部
シリコンパーツ製造部
担任

佐々木 貴広

製品の品質を守り続け
増産体制を支えていく


 私は鋳造工程の現場指揮を担当しています。ヒューマンエラーによる損失を減らし、現場の円滑なコミュニケーションを心がけ、製品の歩留まりが高い状態を目指しています。
 シリコン製造は、鋳造炉の温度管理が鍵を握ります。固形のシリコンを熱して溶かした後、冷やして固めるため、一定の温度に保つ管理技術が求められます。また鋳造時に、型から取り出しやすくするため、さまざまな工夫を積み重ねています。今後の増産にあたっては、中経2030達成に貢献できるように、安定した製造と品質維持を続けていきます。