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2023.10.10

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自動車・半導体の進化を担う Vol.1

三菱マテリアルは中期経営戦略2030において、目指す姿を「人と社会と地球のために、循環をデザインし、持続可能な社会を実現する」と掲げました。その実現に向けた重要な取り組みが「資源循環の拡大」と「高機能素材•製品供給の強化」です。
今号でご紹介する「高機能素材•製品」とは、自動車や電子デバイスなどで幅広く利用され、その性能を引き出す素材や製品のこと。今日、持続可能な社会の実現に向けて、xEV への転換や、効率よくモノやサービスを動かすための電動化•IoT 化が進んでいます。そうした社会の変化に、三菱マテリアルは高機能素材•製品の力で応えていきます。

「脱エンジン」「電動化」が加速
EUは、2035年以降のエンジン車販売を事実上禁止する法案を可決。また国際エネルギー機関(IEA)によると、世界の新車販売台数に占めるEV の割合は、2022年12月時点で10%を突破。自動車の電動化が加速しています。

「つながる車」「自動運転」実現も夢じゃない
米国や中国では既に、ドライバー不在の完全自動運転タクシーの商用化が実現。日本でも、2023年4月の法改正により「限定されたエリア内での完全無人運転(自動運転レベル4)」が認められました。夢の技術だった自動運転も、着実に現実のものになろうとしています。

あらゆるモノがつながる時代へ
2025年、世界のデータ量は180兆ギガバイトに。この途方もないデータ量に達する理由は、従来インターネットに接続されていなかった機器がIoT 化され、高度な機能を備えたから。データも社会の重要なインフラとなっています。

あらゆるシーンでAIが活用される時代へ
工場で不良品を見分ける。商品やサービスの需給バランスを予測する。病変部の画像をもとに、がんの診断を助ける。AIは、もう既に私たちの身近なところで、社会を支える存在になっています。

高機能製品が自動車・半導体を進化させる

進化が著しい次世代自動車や電子デバイス。
その動作を制御する半導体や、電気の通り道となる部材•部品には、これまで以上に精密で、より厳しい条件でも機能する素材•製品が必要とされています。
いわば、素材の進化が、自動車や電子デバイスの進化に欠かせないということ。
三菱マテリアルは、さまざまな特性を持つ高機能製品を開発•生産し、その進化を支えています。
自動車

xEVでは、動力や電子制御に多くの電気が使われるため、用いられる素材にはあらゆる環境下でも導電性や放熱性などを発揮することが求められます。三菱マテリアルは、高品質な銅製品や合金技術で、この課題を解決しています。
車載端子バスバー用銅条
(MSPシリーズ)

車載端子やバスバーの材料として活躍している「MSPシリーズ」は、導電率と強度を高レベルで両立させた銅合金で、多くの電子機器を搭載する次世代自動車のさまざまな用途に好適な素材。強度と耐熱性、曲げやすさに優れ、マグネシウムをシリーズ合金中最も多く含む「MSP5」は、小型化に加え軽量化のニーズにも応えている。当社開発の「PICめっき」と組み合わせることで、自動車のコネクタ類の端子挿入時の摩擦抵抗を大幅に低減。その高機能化にも貢献している。
鉛フリー快削黄銅
(GloBrass®)

環境負荷物質を含まない快削黄銅※1である「GloBrass®」は、高強度かつ加工性に優れる。欧州のELV 指令※2、RoHS 指令※3、水道水質基準などに適応した人と環境にやさしい素材である特長を活かして、水道メーターなどの水栓金具への展開が期待されている。また自動車の機械部品などに活用が期待されているほか、電子・電気機器に必要な導電率を有しながら、従来の黄銅レベルの耐食性も実現しており、今後幅広い用途への展開が期待される。

※1 黄銅:銅と亜鉛の合金  
※2 ELV 指令(End-of Life Vehicles):廃自動車による環境負荷の軽減を目的としてEUが定めた指令
※3 RoHS 指令(Restriction of the use of certain Hazardous Substances in electrical equipment):電気・電子機器に含まれる特定物質の使用制限に関する指令
無酸素銅
(MOFC®-HR)

次世代電動車の車載部材には、従来の内燃式自動車と比較して、大電流・高放熱に対応できる素材が求められる。ここで活躍するのが三菱マテリアルの開発した世界最高水準の強度と耐熱性を持つ新しい無酸素銅「MOFC®-HR」。従来の無酸素銅の持つ優れた導電率・熱伝導率を備えながら、新たに銅合金並みの強度と耐熱性を実現。自動車用の高圧端子やバスパーモジュールなど、大電流・高放熱、小型化・薄型化が求められる部品の材料として期待されている。
サーミスタセンサ
次世代自動車や半導体を使用するスマートフォンなどの機能維持に必要なのが、熱マネジメント。製品の高性能化によって組み込まれる電子部品数が増えたことで、これらが発する熱をコントロールすることが機能維持に欠かせない。そこで必要となるのが、温度センサとして活躍するサーミスタセンサ。三菱マテリアルのサーミスタセンサは、独自の原材料により、高速応答性、高信頼性、高精度な温度測定を実現している。さらに構造・形状のカスタマイズも可能なため、あらゆるニーズに応える。
半導体
あらゆる電子機器の制御•記憶を司る半導体。コンピュータなどの頭脳の役割を担うCPUやICチップなどの半導体部品ができるまでには、そのもととなる素材をつくるだけでなく、「半導体部品をつくる装置の製造」など、さまざまな工程があります。三菱マテリアルは、半導体に関わるさまざまなシーンで用いられる素材•加工製品を開発•生産しています。
低α線はんだ
はんだ材は半導体部品をつくるために回路形成されたシリコンチップと基板の接続、その間の電極として機能している。従来のはんだ材は、メモリ内のデータを書き換えてしまう「ソフトエラー」という現象を引き起こすα線を放出していた。そこで三菱マテリアルは、α線の放出量を極めて低くしたはんだ形成材としてめっき液とアノードを提供している。
リードフレーム用銅合金
リードフレームは集積回路(IC)などに使用される金属の薄い板で、ICチップを固定してプリント配線板に実装する際の接続端子となる部品。その発展に貢献しているのが、長年培った精密圧延技術で実現した世界トップクラスの品質を誇る「リードフレーム用銅合金」。強度と導電率の優れたバランスや耐熱性、プレス加工や曲げ加工のしやすさといった特長を活かし、リードフレーム用の素材として広く使用されている。
シール製品
半導体を水やホコリなどから守るための薄膜を形成するCVD 装置など、半導体製造装置の中には、装置内がプラズマ※4環境となるものがあるため、プラズマ環境に耐え得る性能が求められる。そこで役立つのが、三菱電線工業社が提供する「シール製品」。耐プラズマ性に加え、装 置に悪影響を及ぼす塵やホコリなどの侵入を低減させる特長や帯電防止、耐摩耗性を備えている。また各種環境規制にも対応できるよう製品開発を進めている。

※4 プラズマ:固体、液体、気体に続く第4の状態で、気体中の原子や分子が電離し、プラスの電荷を持つ「正イオン」とマイナスの電荷を持つ「電子」に分かれた状態のこと
シリコン加工品
半導体製造装置を構成する部品の一つとして活躍するのがシリコン加工品。三菱マテリアルは、半導体製造装置が正常に機能を発揮できるよう、高純度のシリコンを高精度で加工したシリコン加工品を提供している。