“気づき”が現場を変えるー家電リサイクル最前線
中部エコテクノロジー株式会社 資源循環部 機械処理・保全グループ 兼 前処理グループ
渡邉 啓介
渡邉 啓介
現場視点で、改善のヒントを探る
家電リサイクルで循環型社会に貢献する三菱マテリアルグループの中部エコテクノロジー(三重県四日市市)では、使用済みのテレビ、エアコン、冷蔵庫、洗濯機を分解・処理し、鉄や銅、アルミ、プラスチックなどの素材を回収・リサイクルしています。限りある資源を無駄なく循環させることが、私たちの仕事の根幹です。入社以来、前処理担当として家電の解体ラインの工程と作業者の管理に携わってきた私は、より安全で効率的な作業環境をどう整えるかを常に意識しています。
リサイクルの現場は、作業者の身体的負担が大きい工程も多くあります。重い家電を持ち上げたり、工具を使って細かな部品を外したり、粉塵や騒音の中で作業することもあります。そうした環境の中で、少しでも作業者の負担を減らし、安心して働けるようにすることが、結果として作業の質やスピードの向上につながると考えています。そのため、私は日々、現場での気づきをもとに「この作業はもっと楽にできないか」「この工程は安全か」といった視点で改善のヒントを探っています。
リサイクルの現場は、作業者の身体的負担が大きい工程も多くあります。重い家電を持ち上げたり、工具を使って細かな部品を外したり、粉塵や騒音の中で作業することもあります。そうした環境の中で、少しでも作業者の負担を減らし、安心して働けるようにすることが、結果として作業の質やスピードの向上につながると考えています。そのため、私は日々、現場での気づきをもとに「この作業はもっと楽にできないか」「この工程は安全か」といった視点で改善のヒントを探っています。
挑戦が導いた、働きやすさと効率の両立
こうした考えを持つようになったのは、入社2年目に携わった前処理工程の設備更新が大きく関わっています。当時、私は冷蔵庫ラインの管理を担当していました。冷蔵庫は取扱う家電の中でも特に重量があります。中でも冷蔵庫の壁の中に入っている真空断熱材の除去作業は、冷蔵庫を寝かせて壁を剥がし、再び立てる必要があり、作業者にとっては負荷の大きい工程でした。加えて、作業効率も十分とは言えず、改善の余地を強く感じていました。
この状況を改善するために、真空断熱材を自動で剥離する設備を開発しました。設備の刃の角度や切断の深さ、素材の違いによる調整など、自動で剥離ができるよう細かな試行錯誤を重ねました。市販工具の応用やコスト面の考慮を重ねながら、最適な仕様を探る日々が続きました。当初、私は機械の知識がありませんでしたが、上司と二人三脚で知識を身に付け、現場に合った設備を作り上げていきました。
導入当初は、思うようにいかないことも多くありましたが、現場の仲間と協力しながら調整を重ねました。その結果、最終的に設備は完成し、作業者の負担は大幅に軽減され、安全性と作業スピードの両方を向上させることができました。
この経験を通じて、設備の改善は単なる効率化ではなく、現場で働く人の安全や健康を守ることでもあると実感しました。そして、それが結果的にリサイクルの質と量を高め、持続可能な社会の実現にもつながっていくのだと強く感じた瞬間でもありました。
この状況を改善するために、真空断熱材を自動で剥離する設備を開発しました。設備の刃の角度や切断の深さ、素材の違いによる調整など、自動で剥離ができるよう細かな試行錯誤を重ねました。市販工具の応用やコスト面の考慮を重ねながら、最適な仕様を探る日々が続きました。当初、私は機械の知識がありませんでしたが、上司と二人三脚で知識を身に付け、現場に合った設備を作り上げていきました。
導入当初は、思うようにいかないことも多くありましたが、現場の仲間と協力しながら調整を重ねました。その結果、最終的に設備は完成し、作業者の負担は大幅に軽減され、安全性と作業スピードの両方を向上させることができました。
この経験を通じて、設備の改善は単なる効率化ではなく、現場で働く人の安全や健康を守ることでもあると実感しました。そして、それが結果的にリサイクルの質と量を高め、持続可能な社会の実現にもつながっていくのだと強く感じた瞬間でもありました。
改善の先に見据える、持続可能な未来
2024年度からは、機械処理グループに異動になりました。これまでの前処理工程を兼務しながら、設備の保守・保全という新たな分野にも挑戦しています。機械処理グループの業務はこれまでとは異なり、機械の構造やメンテナンスの知識が求められる業務です。最初は戸惑うことも多くありましたが、設備の安定稼働が現場全体の安全性や作業効率に直結することを実感し、日々学びながら取り組んでいます。
また保全業務では、異音や振動など、わずかな変化に気づく力が求められます。以前は気づけなかった機械の不調も、今では「この音はベルトの緩みかもしれない」「この振動は軸のズレかもしれない」と、原因を予測しながら対応できるようになりました。こうした気づきが、前処理ラインでの設備不良の予防や、作業の中断を防ぐことにつながっています。
新しい業務に向き合う中で、私は「挑戦すること」そのものが、現場をより良くする原動力になると感じています。慣れない分野でも一歩踏み出してみることで、改善の視点が広がり、現場の質も高まっていく。現在は人材育成や作業手順の標準化にも力を入れながら、誰もが迷わず働ける環境を整えることを目指しています。人が安心して働ける現場を守ることが、より多くの家電をリサイクルすることにつながる。そして、その積み重ねが持続可能な未来につながっていくと、私は信じています。
また保全業務では、異音や振動など、わずかな変化に気づく力が求められます。以前は気づけなかった機械の不調も、今では「この音はベルトの緩みかもしれない」「この振動は軸のズレかもしれない」と、原因を予測しながら対応できるようになりました。こうした気づきが、前処理ラインでの設備不良の予防や、作業の中断を防ぐことにつながっています。
新しい業務に向き合う中で、私は「挑戦すること」そのものが、現場をより良くする原動力になると感じています。慣れない分野でも一歩踏み出してみることで、改善の視点が広がり、現場の質も高まっていく。現在は人材育成や作業手順の標準化にも力を入れながら、誰もが迷わず働ける環境を整えることを目指しています。人が安心して働ける現場を守ることが、より多くの家電をリサイクルすることにつながる。そして、その積み重ねが持続可能な未来につながっていくと、私は信じています。


資源には限りがあり、「回収できるもの、再利用できるものはしていきたい」と語る渡邉さん。一番の原動力は「誰もやったことのないことに取り組む」ときの挑戦心。