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2025.06.03

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環境負荷削減に向けた見える化の取り組み Vol.1 ~電気銅・電気鉛~

気温の上昇、異常気象、海面上昇など、私たちの生活や自然環境に深刻な影響を及ぼすこれらの現象はGHG(Greenhouse Gas:温室効果ガス)の増加に起因することから、カーボンニュートラルを目指す取り組みやGHG削減の重要性はますます高まっています。
三菱マテリアルグループは、「人と社会と地球のために」という企業理念のもと、カーボンニュートラルの目標年として国の目標年である2050年度より5年前倒しした2045年度に設定するとともに、自社で消費する電力に相当する再エネ発電を2050年度には実現し、実質的な再エネ電力自給率100%を目指すなど、「脱炭素社会の実現」に向けた事業活動を進めています。
今回は、脱炭素社会の実現に貢献するための重要なツールとして環境省など多くの機関が算定や表示を推進しているCFP(Carbon Footprint of Products:カーボンフットプリント)の算定についての当社グループの取り組みをご紹介します。
CFPとは、LCA(Life Cycle Assessment:ライフサイクルアセスメント)の手法を用いて、製品やサービスのライフサイクル全体を通して排出されるGHGの排出量をCO2排出量に換算した値のことです。

一般にLCAでは製品の原材料調達から製造・輸送・使用・廃棄まで、ライフサイクル全般を通じて環境負荷を定量的に評価するため、自社製品やサービスのどのプロセスで環境負荷が大きいかなどを把握することができます。これを活用して自社製品の環境負荷の改善につなげ、責任ある製品提供を促進することができます。

当社では、GHG排出量削減に向け優先的に着手すべき課題の抽出を行うため、電気銅及び電気鉛のCFP算定を実施しました。

電気銅に関する取り組み

2024年、金属事業の主力製品であり、当社グループのGHG排出量に占める割合が大きい「電気銅」のCFPを算定しました。算定の対象は、直島製錬所およびグループ会社である小名浜製錬株式会社の小名浜製錬所で2022年度に製造された電気銅です。

LCAのプロセス

評価対象期間を1年間とし、Cradle to Gate(原材料の調達から製品の製造・出荷まで)の電気銅生産1トンあたりのGHG排出量を国際規格に則って算定しました。

【算定工程】
原料製造(海外鉱山における銅鉱石の採掘・選鉱)
 鉱山会社のサステナビリティレポート等、開示情報をもとに算定
原料輸送(銅精鉱、リサイクル材の海上輸送、陸上輸送)
 原料調達部門での銅精鉱、リサイクル材料の輸送に関するデータから算定
銅製錬(国内製錬所における電気銅の製造)
 直島製錬所、小名浜製錬所の両製錬所から、原料、副資材、ユーティリティ使用量、
 製品生産量のデータを入手し各製造工程の算定を実施

これら一連の算定プロセスを「電気銅LCA実施報告書」として取りまとめ、一般社団法人日本LCA推進機構による第三者クリティカルレビューを実施しました。
第三者クリティカルレビューとは、LCA算定プロセスを含む実施報告書がISO規格に準拠していることを専門家が確認するプロセスであり、これを実施することで信頼性を高めることができます。レビューの結果、規格への準拠が確認され、クリティカルレビュー証書を受領することができました。

電気鉛の取り組み

当社は電気銅で得た知見を活用し、電気鉛に対しても取り組み範囲を広げました。
対象は当社グループの細倉金属鉱業株式会社で2023年度に生産された電気鉛であり、Cradle to Gateでの電気鉛1トンあたりのGHG排出量を算定し、その結果が国際規格に準拠していることを第三者機関によるクリティカルレビューを実施することにより、確認しました。

細倉金属鉱業では、自動車などの使用済み鉛バッテリーを回収・リサイクルして電気鉛を生産しています。この電気鉛は、当社のリサイクル金属ブランド「REMINE」製品の一つとしてリサイクル材料含有率の第三者検証が実施されていますが、今回ライフサイクルにおけるGHGの排出量についても、第三者による客観性や信頼性を確保しました。
当社では今後も主要製品について環境負荷の算定を行い、気候変動に関する取り組みを推進していきます。